鎌倉時代に成立した文学作品「とはずがたり」。当時の文学作品としてはやばい暴露本だと噂されています。
宮廷の男女達が愛欲に溺れていく様子の実話です。
話の内容はかなり赤裸々で生々しいですが、世界的にも評価されている文学作品です。
一体どんな作品なのか、古典文学に詳しくなくても宮廷男女の愛欲の実話は気になってしまいますよね。
この記事では、「とはずがたり」のやばいと噂される中身について紹介していきます。
とはずがたりはやばいと言われる理由は?
とはずがたり/ 後深草院二条 佐々木和歌子 訳 #読了
— ほんのうみ (@honnoumiinu) March 6, 2023
今から760年前の鎌倉後期、村上源氏の血筋に生まれた美しい二条。彼女は源氏物語の若紫さながら幼くして母を亡くし、後深草院に引き取られ14才で院の女房となる。
宮廷世界を赤裸々に書き留めた二条の自伝は、かなりスキャンダラスだ。 pic.twitter.com/Gf0B9NA6H3
とはずがたりがやばいと言われる理由として、以下の3つが考えられます。
- 主人公である二条の恋愛遍歴がやばい
- 宮廷の内情暴露がやばい
- 世界評価されていてやばい
一つずつ紹介していきます。
主人公の二条の恋愛遍歴がやばい
とはずがたりの主人公は、後深草院二条(ごふかくさいんのにじょう)という貴族の女性です。この作品は、彼女の自叙伝となっているんですね。
彼女は後深草上皇の愛人として仕える一方で、
他にも複数の男性と求められるままに関係を持ち、父親の違う子供を合わせて4人産んでいます。
上皇の愛人というのもやばいですが、それぞれに父親の違う子供を4人産んでいるとは現代においてもなかなかやばい恋愛遍歴といえます。
美女で悪女の匂いがしますね(笑)
宮廷の内情暴露がやばい
とはずがたりの舞台は、鎌倉時代の中期以降。
そのころ武士が権力を持ち始め、天皇の政治的な影響力は衰えていました。
宮廷では道徳や気風が乱れ、暇を持て余した天皇家を中心に性事情も乱れたものになっていきます。
「とはずがたり」は昭和13年に発見されていましたが、当時の天皇は神のように崇められる存在でした。
それを考えると天皇家の恥ずかしい性にまつわる暴露本は、世に出せるものではなかったのだと考えます。
当時は宮内庁で禁書的な扱いを受けており、公刊となったのは昭和25年になってからのことです。
世界評価されている
「とはずがたり」は、なんと文学作品として世界レベルで評価を受けています。
実名でありのままを告白する作品は、古典文学ではとても稀。その点にも注目が集まったのではないでしょうか。
また、歴史的資料としても価値がありました。
以下に、その反響の一部を紹介します。
- 1974年アメリカで翻訳され、全米図書賞を受賞
- 1981年ブルガリアで出版され、ベストセラー
- 2022年日本の共通テストの問題に採用
今でいう告白本が当時はとても貴重で驚きの文学作品だったということが分かりますね。
とはずがたりはどんな話で現代語訳はどう?
『とはずがたり』
— 光文社古典新訳文庫 (@kotensinyaku) February 13, 2024
後深草院二条/佐々木和歌子訳
後深草院の寵愛を受け十四歳で後宮に入った二条は、その若さと美貌ゆえに多くの男たちに求められるのだった。そして御所放逐。尼僧として旅に明け暮れる日々……。
書き残しておかなければ死ねない、との思いで数奇な運命を綴る。 pic.twitter.com/3fTWFHNZcB
「とはずがたり」はどんな話なのか、あらすじが気になって仕方ないですよね。
現代語訳ではどのような意味を持つかについても、簡単に紹介します。
どんな話?
とはずがたりのあらすじは、前半は煌びやかな宮廷を舞台に、二条をめぐる男女の愛欲の物語が展開されています。
後半は、目に余るほど宮廷内の風紀を乱したことで御所を追放されてしまった二条が、尼僧となって各地の寺社をめぐる旅の様子が語られます。
前半は愛欲の物語、後半は紀行文といった感じですね。
以下、おもな登場人物を二条との関わりを中心に紹介します。
人物 | 紹介 |
後深草院二条 (主人公) | 美貌に恵まれた貴族の女性。4歳から後深草上皇の御所で暮らし、14歳のときに思いがけず後深草上皇の寵愛を受ける。その後も、宮廷内で数々の男性を虜にしていく。4人の子供を産んだが、ほとんど手元で育てることはなかった。 |
後深草上皇 | 89代天皇。幼い頃、二条の母である大納言典侍に恋していた。大納言典侍への恋が叶わなかったため、娘の二条をいずれ自分のものにしようと手元に置く。 一方で、二条に女遊びをするための手引きをさせたり二条が他の男性と関係を持つことを容認(ときには指示)する。 二条との間に子供が一人いたが、幼くして亡くなっている。 |
西園寺光兼(雪の曙) | 公家の男性。二条の初恋の相手。二条との間に子供が一人いた。 |
性助入道親王(有明の月) | 仁和寺の高僧で、後深草上皇の異母弟。 二条に異常なほど恋焦がれた人物で、二条との間に2人の子供がいた。 |
亀山院 | 90代天皇。後深草上皇の実弟。 後深草上皇の容認のもと、二条と関係を持つ。 兄である後深草上皇よりも両親から重宝されたため、後深草上皇から妬まれ、兄弟の仲は険悪。のちの南北朝時代のきっかけにもなった。 |
近衛大殿 | 関白の男性。 二条は後深草上皇の指示で、彼と関係を持つことになる。 |
こうして見ると、二条の男性に対する奔放さは凄まじいですね。
いくら当時が一夫多妻制であったとはいえ、後深草上皇の好色ぶりにも驚きです。
失恋した相手の娘である二条を自分の愛人にしたり、その二条を他の男性に容認して差し出してみたり(その情事を障子1枚隔てた先で聞いていることもある)、一体どういう神経しているのかとなりますね(笑)
一方で、こんなやばい愛憎劇をドラマ化にしたらおもしろくなりそうと、やばい私も出てきています(笑)
現代語訳だと意味は?
気になる「とはずがたり」の意味は、「人から聞かれていないのに自分から語りだすこと」という意味です。
波乱万丈な自分の人生を誰かに伝えたいという、二条の強い意思を感じますね。まさに現在でいう告白本ですね。
とはずがたりはやばい?どんな話やあらすじで現代語訳での意味は?まとめ
「とはずがたり」がやばいと言われる理由と、どんな話なのかあらすじとともに紹介しました。
以下、まとめます。
- 「とはずがたり」の主人公・二条の恋愛遍歴がやばい
- 「とはずがたり」で暴露される宮廷内の性事情は、公刊できないほどやばい
- 「とはずがたり」は古典文学作品としても一見の価値あり
「とはずがたり」のやばい世界に、あなたも引き込まれてしまうかもしれません。